大谷翔平は先発投手として登板するのに、なぜドジャースの投手人数の上限に数えられないのでしょうか。
答えは、MLBのアクティブロースターに『投手』『野手』とは別に『二刀流選手』という公式の登録区分があるからです。条件を満たして二刀流選手に指定されると、その選手はどの試合状況でも投球できる一方、アクティブロースターの投手人数には数えられません。ただし、アクティブ枠そのものを使わないわけではなく、1人分の登録枠は使います。
この制度は、先発投手が降板した後も指名打者として打順に残れるRule 5.11(b)、通称『大谷ルール』とは別です。二刀流選手の区分はシーズンを通じたロースター管理の話で、大谷ルールは1試合のラインアップと交代の話です。
ここでは2026年9月2日に確認したMLB公式の二刀流選手情報を基準に、20イニング・20試合の条件、投手13人と9月の14人上限、大谷翔平の扱い、大谷ルールとの違いを順番に整理します。
二刀流選手ルールの要点を先に整理
| 確認項目 | 二刀流選手の登録区分 | Rule 5.11(b)・大谷ルール |
|---|---|---|
| 何を決めるか | アクティブロースター上の選手区分 | 同一試合での先発投手とDHの扱い |
| 中心となる条件 | MLBで20イニング以上投球し、所定の先発20試合以上を満たす | 先発投手が自分で打ち、投手とDHの両方で打順表に記載される |
| 主な効果 | 投手人数の上限に数えず、登板場面の制限を受けない | 投手降板後もDHとして打順に残れる |
| 適用単位 | シーズンのロースター管理 | 個々の試合のラインアップと交代 |
二刀流選手に指定されたから自動的に投手兼DHで先発するわけではありません。反対に、ある試合で投手とDHを兼ねたという情報だけで、その選手がロースター上の二刀流選手に指定されているとも限りません。登録区分と当日の起用法を分けることが、混乱を避ける第一歩です。
MLBの二刀流選手とは3つ目の公式区分
MLB公式GlossaryのTwo-way Playersでは、アクティブロースターの選手は原則として投手か野手に指定され、所定の基準を満たす選手には二刀流選手という別の指定が認められると説明されています。
つまり『打撃も得意な投手』『高校時代に投手と野手を経験した選手』『シーズン中に野手登板した選手』といった一般的な意味での二刀流と、MLBの登録上の二刀流選手は同じではありません。能力や評判ではなく、メジャーでの公式な出場実績が基準です。
投手に指定された選手は投手人数の上限に数えられます。野手に指定された選手が投げられるのは、MLBが定める例外的な試合状況に限られます。二刀流選手は投手人数に数えられず、野手登板に課される場面制限にも縛られずに投げられます。
ただし、二刀流指定はアクティブロースターの人数を増やす制度ではありません。二刀流選手も1人の登録選手として26人枠、9月なら28人枠の1枠を使います。特別なのは、同じ1枠の選手が投打の役割を担いながら、投手人数の集計には入らない点です。
二刀流選手の条件は20イニングと20試合

MLB公式が示す条件は2つあり、両方を満たす必要があります。対象期間は当該MLBシーズン、またはその前の2シーズンのいずれかです。複数年の数字を合算して20に届けばよいという説明ではなく、対象となるいずれかのシーズンで基準を満たしたかを確認します。
条件1:MLBで20イニング以上を投げる
第1条件は、メジャーリーグで20イニング以上を投げることです。登板数が20試合ではなく、投球回が20イニングである点に注意が必要です。先発と救援のどちらで投げたかではなく、公式記録上のMLB投球回で判断します。
マイナーリーグ、スプリングトレーニング、学生野球、他国リーグでの投球実績を足して条件を満たすという記載ではありません。基準に書かれているのはMajor League inningsです。
条件2:野手またはDHで先発20試合、各試合3打席以上
第2条件は、野手または指名打者としてMLBの試合に20試合以上先発し、その各試合で3打席以上を記録することです。
単に20試合へ出場すればよいわけではありません。代打だけで出た試合、守備固めだけで出た試合、先発したものの3打席に届かなかった試合を、そのまま条件達成の20試合として数える説明にはなっていません。『先発』『20試合』『各試合3打席以上』を一組で確認します。
MLB公式の2026年二刀流ルール解説も、投球20イニングと、野手またはDHとして各3打席以上を伴う先発20試合の両方を条件として示しています。個別選手が今季に条件へ届いたかを見るときは、打席数だけ、登板数だけで判断しないことが重要です。
投手人数の上限は通常13人、9月は14人

MLB公式Glossaryによると、通常のアクティブロースターで投手に指定できる人数は13人までです。9月1日からレギュラーシーズン終了までは、アクティブ枠が28人へ広がる時期に合わせ、投手の上限も14人になります。
二刀流選手は、この13人または14人という『投手に指定された選手の人数』へ入りません。たとえば通常期間に、投手として指定された13人と二刀流選手1人を同じアクティブロースターへ置くことが制度上可能です。9月なら投手指定14人と二刀流選手を組み合わせられます。ただし合計人数は、それぞれ26人枠または28人枠の内側に収める必要があります。
この仕組みの価値は、二刀流選手が透明な追加枠になることではなく、1枠で投打の機能を持ちながら投手数の上限を消費しないことです。球団は二刀流選手を打線へ置きつつ、上限まで投手を登録する選択肢を持てます。一方で、二刀流選手を入れた分だけ野手を何人にするかなど、アクティブ枠全体の配分は必要です。
40人枠、通常の26人枠、9月の28人枠が混ざった場合は、MLBの40人枠・26人枠・28人枠の違いを合わせて確認すると整理しやすくなります。二刀流選手が数えられないのは40人枠ではなく、アクティブロースター内の投手人数上限です。
大谷翔平がドジャースの投手枠に数えられない理由
2026年9月2日の確認時点で、ドジャース公式アクティブロースターは『Pitchers』と別に『Two-Way Players』の欄を設け、大谷翔平をその欄に掲載しています。この名簿は随時変わるため、後日見る場合はその日の表示を基準にしてください。
大谷は『投手として登板する日もあるのに野手扱いだから投手枠外』なのではなく、公式に二刀流選手という第3の区分で掲載されています。そのため、投手として指定された選手の人数を数えるとき、大谷を投手欄へ足しません。
2026年4月21日のMLB公式ドジャース記事も、大谷の二刀流指定が26人枠の投手13人上限に数えられないことと、その指定に必要な20イニング・20試合の2条件を説明しています。これはドジャースだけが自由に使える球団固有の枠ではなく、条件を満たした選手に適用されるMLBの制度です。
同時に、二刀流指定があるから毎回投げなければならないわけでもありません。DHだけで出場する日、先発投手とDHを兼ねる日、休養する日という当日の起用は、登録区分とは別に決まります。公式名簿は『何として登録されているか』を示し、先発ラインアップと交代記録は『その試合で何をしたか』を示します。
二刀流選手の登録区分と大谷ルールの違い

『大谷に関係する特別ルール』という共通点から混同されやすいものの、二刀流選手の登録区分とRule 5.11(b)は目的が違います。
二刀流選手の登録区分は、球団がアクティブロースターを組むとき、選手を投手人数へ数えるか、どの場面で登板できるかを決めます。判断材料はシーズン単位の20イニングと20試合です。
一方、MLB公式のDesignated Hitter Ruleが説明する仕組みは、先発投手が自分で打つ場合に投手とDHを別の役割として扱い、投手を降板した後もDHとして打順に残れるようにするものです。こちらは1試合の打順表と交代を管理します。
短く言えば、『投手枠に数えるか』が二刀流選手の区分、『降板後も打てるか』が大谷ルールです。DHの基本や交代後の扱いまで確認したい場合は、指名打者の基本ルールと大谷ルールで、DHが守備に就いた場合や代打・代走を出した場合も含めて確認できます。
Rule 5.11(b)では先発投手とDHの2役で記載する
Rule 5.11(b)の要点は、先発投手が自分で打つとき、その選手をルール上2つの役割として扱うことです。監督は打順表に10人を記載し、同じ選手を先発投手とDHの両方へ置きます。
この形で先発した選手が投手として交代すると、以後その試合で再び投げることはできませんが、DHとして打順に残れます。反対にDHとして交代した場合は、投手として続投できますが、自分で打つ役割は終わります。
投手とDHの両方から同時に退いた場合、後から入る1人の選手が新たに同じ2役を引き継ぐ仕組みではありません。最初の打順表で先発投手が自分で打つと記載したときに成立する扱いです。
また、救援登板は同じではありません。二刀流選手がDHで先発し、試合途中に投手へ回ることはできますが、先発時のように投手とDHの2役で最初から記載された状態ではありません。MLB公式の二刀流Q&Aは、二刀流選手が打順表で2度記載されるのは先発投手のときで、DHから投手へ移った場合の継続には別の制限があると説明しています。
誤解しやすい4つのポイント
二刀流選手はアクティブ枠を使わない
誤りです。二刀流選手も26人枠または9月の28人枠で1人分を使います。数えられないのは投手13人または14人の上限であり、アクティブロースターの総人数ではありません。
投手として20試合に出れば条件を満たす
誤りです。投手側は20試合ではなく20イニングです。打者側は野手またはDHとして先発20試合で、各試合3打席以上が必要です。20という数字が2つ出るため、単位と条件を分けて覚えます。
大谷ルールを使える選手は投手枠に数えられない
同じ意味ではありません。Rule 5.11(b)は先発投手とDHのラインアップ上の扱いで、投手人数上限から除外される条件を定めた二刀流指定とは別です。ニュースで『大谷ルール』と書かれていたら、降板後のDH継続を指しているのか、二刀流選手の登録区分を俗称的に呼んでいるのかを本文で確認します。
9月は投手を何人でも増やせる
誤りです。9月1日からレギュラーシーズン終了まではアクティブ枠が28人、投手上限が14人になります。かつてのように40人枠全員をそのままベンチへ入れる制度ではありません。二刀流選手が投手上限外でも、全体は28人に収めます。
大谷翔平の登録ニュースを読む順番
最初に公式ロースターの区分を見ます。Pitchers、Two-Way Players、Infieldersなど、どの欄に掲載されているかで、投手人数を数えるときの扱いが分かります。
次に時期を確認します。8月31日までは通常の26人枠と投手13人上限、9月1日からレギュラーシーズン終了までは28人枠と投手14人上限です。ポストシーズンは9月の28人枠をそのまま引き継ぐわけではないため、別の登録発表を確認します。
そのうえで当日のラインアップを見ます。DHのみなら打者としての出場、先発投手とDHの両方に名前があればRule 5.11(b)を使う起用です。投手を降板した後も打順に残っているかは、ボックススコアと交代記録で判断します。
最後に、登録区分と起用結果を混ぜないようにします。打者として休養した日があっても二刀流指定が直ちに消えるわけではなく、投手として登板しただけで別の選手が自動的に二刀流指定を得るわけでもありません。制度上の区分はMLBと球団の公式名簿、試合での役割は公式ラインアップを基準にします。
よくある質問
MLBの二刀流選手になる条件は何ですか?
当該MLBシーズンまたは前の2シーズンのいずれかで、MLB20イニング以上の投球と、野手またはDHとして各3打席以上を伴う先発20試合以上の両方を満たすことです。
大谷翔平はドジャースの投手13人に含まれますか?
二刀流選手として指定されているため、投手人数の上限には含まれません。ただしアクティブロースターでは1人分の枠を使います。9月の投手上限は14人です。
二刀流選手ならどんな試合状況でも投げられますか?
はい。MLB公式は、二刀流選手は野手登板に設けられた試合状況の制限を受けずに投げられると説明しています。
20試合は代打出場でも数えられますか?
条件は野手またはDHとして先発し、各試合で3打席以上を記録した20試合です。単なる代打出場をそのまま条件の1試合として数えるものではありません。
二刀流選手ルールと大谷ルールは同じですか?
違います。二刀流選手ルールはロースター上の登録区分と投手人数上限の制度です。大谷ルールはRule 5.11(b)に基づき、先発投手兼DHが投手降板後もDHとして残れる試合内の制度です。
9月にロースターが広がると投手上限は何人ですか?
9月1日からレギュラーシーズン終了までは14人です。通常期間は13人で、二刀流選手はこの投手人数には数えられません。
公式の二刀流指定はどこで確認できますか?
球団公式のアクティブロースターで、Pitchersとは別のTwo-Way Players欄を確認します。名簿は選手移動によって変わるため、ニュースの日付と同じ時点の公式表示やトランザクションを確認してください。
まとめ
MLBの二刀流選手は、単に投打で活躍する選手への呼び名ではなく、アクティブロースター上の公式区分です。条件は、対象となる1シーズンでMLB20イニング以上を投げ、野手またはDHとして各3打席以上を伴う先発20試合以上を記録することです。
二刀流選手は通常13人、9月は14人という投手人数の上限に数えられず、規定の場面に限定されず登板できます。ただし26人枠または28人枠の1枠は使います。大谷翔平が投手枠に数えられないのは、公式ロースターで二刀流選手に指定されているためです。
Rule 5.11(b)の通称・大谷ルールは別制度です。こちらは先発投手兼DHが投手降板後もDHとして打順に残れる仕組みです。『登録区分と投手人数』と『1試合のDH継続』を分ければ、大谷翔平のロースター情報と試合中の交代を正確に読み取れます。

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