「70年」と「0人」。
この2つの数字だけで、今日の話はほとんど説明できてしまいます。
サイ・ヤング賞が生まれてからおよそ70年。
その歴史の中で、受賞した日本人投手は、まだ0人です。
「サイ・ヤング賞って、そもそも何?」
「MVPとは違うの?」
「大谷翔平さんは獲れるの?」
ニュースでこの賞の名前を見かけて、そんな疑問が浮かんだ方も多いのではないでしょうか?
この記事では、名前の由来から投票の仕組み、日本人投手の挑戦の歴史、そして大谷さんの現在地まで、筆者がやさしく解説します。
サイ・ヤング賞とは?メジャーリーグの投手に贈られる最高の栄誉

サイ・ヤング賞とは、メジャーリーグでその年に最も活躍した投手に贈られる賞です。
打者も含めた全選手が対象のMVPとは違い、こちらは投手だけの賞。
だからよく「投手にとって最高の栄誉」と呼ばれます。
毎年シーズン終了後に、ア・リーグとナ・リーグからそれぞれ1人ずつ選ばれます。
名前の由来になったサイ・ヤングとは誰?
賞の名前は、19世紀末から20世紀初頭に活躍した大投手、サイ・ヤングさんに由来します。
通算511勝。
メジャーの歴史で、いまだに誰も抜けていない大記録です。
現代では、1年に20勝すれば大ニュースになる時代。
単純計算でも、その20勝を25年以上続けてようやく届くかどうかという数字です。
ちなみに「サイ」は本名ではなく、投球が竜巻のようだったことから付いた愛称「サイクロン」の略とされています。
名前からして、もう規格外ですよね。
この伝説の名前を冠した賞は1956年に創設され、当初は両リーグ合わせて1人だけに贈られていました。
1967年からは、各リーグ1人ずつの現在の形になっています。
サイ・ヤング賞とMVPの違い
「MVPと何が違うの?」という疑問は、実はとても本質的です。
MVPは野手も投手も含めた「その年最高の選手」に贈られる賞。
サイ・ヤング賞は「その年最高の投手」に贈られる賞です。
だから理屈のうえでは、1人の選手が同じ年に両方を受賞することもあり得ます。
そして、投打の二刀流でMVPに複数回輝いてきた大谷さんに残された数少ない「未開の頂」が、このサイ・ヤング賞なのです。
あなたの仕事にも「総合力は認められているのに、専門部門の賞だけまだ獲れていない」ような目標はないでしょうか?
筆者はこの構図を思うたび、大谷さんの挑戦が急に自分ごとのように感じられます。
サイ・ヤング賞の投票の仕組み|誰がどうやって選ぶのか

サイ・ヤング賞は、機械的な成績ランキングでは決まりません。
選ぶのは、全米野球記者協会(BBWAA)に所属する記者たちです。
各リーグ30人の担当記者が、シーズン終了時点で「今年最高だと思う投手」を1位から5位まで順位をつけて投票します。
配点は1位票が7点、2位票が4点、以下3点、2点、1点。
この合計点がいちばん多かった投手が受賞します。
全員から1位票を集めると「満票受賞」と呼ばれ、特別な名誉とされています。
もしあなたが投票権を持つ記者なら、何を基準に1位の名前を書くでしょうか?
投票で重視されるポイント
投票の基準は記者ごとに違いますが、一般に重視されるのは防御率、奪三振、勝利数、投球回、WHIPといった数字です。
WHIPは「1イニングに何人の走者を出したか」を表す指標で、小さいほど優秀。
近年は勝ち星よりも、防御率や投球内容そのものを重く見る傾向が強まっているとされています。
そしてもうひとつ、見逃せないのが投球回です。
どれだけ数字が良くても、投げたイニングが少ないと評価は伸びにくい。
「1年間、先発の柱として投げ抜いたか」が問われる賞だからです。
ここは後半で大谷さんの話をするときに、大切なポイントになります。
歴代の複数回受賞者はどれくらいいる?
この賞の重みは、複数回受賞者の顔ぶれからも分かります。
最多はロジャー・クレメンスさんの7回。
ランディ・ジョンソンさんは5回で、しかも1999年から4年連続という異次元の記録を持っています。
現役世代でも、クレイトン・カーショーさんやマックス・シャーザーさんの3回が知られています。
1回獲るだけでも歴史に名が残る賞を、何度も獲る怪物たちがいる。
その頂の高さを想像すると、筆者は少し気が遠くなります。
でも、だからこそ挑む価値があるのだと思います。
発表はいつ?
受賞者の発表は、例年ワールドシリーズ終了後の11月に行われます。
投票自体はレギュラーシーズン終了時点の成績で行われるため、ポストシーズンの結果は影響しません。
10月の熱戦とは別の場所で、静かに決まっている賞なのです。
サイ・ヤング賞と日本人投手|歴代の最高位は「2位」

では、日本人投手はこの賞にどこまで迫ってきたのでしょうか。
結論から言うと、歴代最高位は「2位」です。
達成したのは、ダルビッシュ有さんと前田健太さん。
ダルビッシュさんは2013年と2020年の2度、投票2位に入りました。
そして2020年は、前田健太さんもア・リーグで2位。
同じ年に日本人2人が、両リーグでそれぞれ「あと一歩」まで迫った特別な年でした。
Full-Countによると、この2020年の2人の2位が、今も日本人最高位として並んでいます。
ほかにも岩隈久志さんが2013年に3位、山本由伸さんが2025年に3位、大谷さんが2022年に4位、野茂英雄さんが1995年に4位、今永昇太さんが2024年に5位と報じられています。
こうして並べると、分かることがあります。
日本人投手は、何度も何度も、頂のすぐ手前まで登っているのです。
2020年、「あと一歩」の夜
筆者は前職の記者時代、2020年11月の受賞発表をオフィスの片隅で見ていました。
ダルビッシュさんと前田さん、2人同時のダブル受賞もあり得ると胸を高鳴らせていたのを覚えています。
結果は、2人そろって2位。
正直、悔しくてしばらく席を立てませんでした。
でも同時に、こうも思ったのです。
「この壁は、もう手が届く高さまで来ている」
あなたにも、結果はダメだったのに、なぜか希望のほうが残った経験はないでしょうか?
あの夜の悔しさは、今も日本人ファンの中で静かに続いている物語だと筆者は感じています。
なぜ「2位の壁」は厚いのか
理由のひとつは、先ほどの投球回です。
受賞者クラスは、圧倒的な数字を「量」とセットで積み上げてきます。
もうひとつは、相手が悪すぎること。
2位に入った年の受賞者は、いずれも歴史級のシーズンを送った投手たちでした。
つまり日本人投手が弱いのではなく、頂上決戦のレベルが異常に高いのです。
ネットでも、こんな趣旨の声をよく見かけます。
「2位が3回もあるのに0冠って、逆にすごい世界」
「誰かが最初の1人になる瞬間を見届けたい」
「日本人初がかかる時代に生きているのが嬉しい」
筆者も、まったく同じ気持ちです。
大谷翔平とサイ・ヤング賞の現在地【2026年】

大谷さんとこの賞の距離は、実はすでにかなり近いところまで縮まっています。
2022年、大谷さんはア・リーグの投票で4位に入りました。
特筆すべきは、これが「投手専任」ではなく、打者もやりながらの4位だったこと。
サイ・ヤング賞の歴史で、二刀流の選手が受賞した例はないとされています。
つまり大谷さんが受賞すれば、日本人初であると同時に、賞の歴史そのものを塗り替える可能性があるのです。
2026年シーズンの状況
今季の大谷さんは、投手として圧巻のスタートを切りました。
東スポWEBによると、ここまで14試合に先発して8勝2敗、85回2/3を投げて防御率1.79という数字を残しています。
6月1日時点ではデータサイトの記録で防御率0.82、スポーツナビの5月のコラムで「ナ・リーグ防御率1位」と紹介されるほどの序盤でした。
しかし、その後は左膝の状態を考慮して登板を見送る期間が続きます。
そして日本時間21日には、23日に予定されていた復帰登板の回避と、次回登板が未定になったことが報じられました。
この経緯は復帰登板が白紙になった経緯を整理した記事で詳しくまとめています。
東スポWEBによると、米メディアからは「獲得する可能性は事実上消えた」という論評も出ています。
先ほど説明したとおり、この賞は投球回が重い意味を持つからです。
数字だけ見れば、今季の受賞レースで厳しい立場になったことは、正直に受け止める必要があります。
それでも筆者が悲観していない理由
ただ、ここで思い出してほしいのです。
この賞は毎年、必ずやってきます。
スポーツ報知によると、ロバーツ監督は今季中の投手復帰が絶望的になる可能性を否定しており、週末にはブルペン投球も予定されていると報じられています。
序盤に防御率0点台の投球ができることは、今季すでに証明済み。
実際、東スポWEBによると、厳しい論評を出した米メディア自身が、投手としてすでに素晴らしいシーズンを送ったとして、今季のナ・リーグMVP候補は確実視されるという見方も併せて伝えています。
投票用紙が配られる前から、投手・大谷の評価はもう証明されているのです。
あとは、健康な1年とめぐり会うだけです。
寝る前にベッドで歴代受賞者のリストをスクロールしていたら、目が冴えて眠れなくなった夜がありました。
70年分の名前のどこにも、まだ日本人はいない。
だったらその1行目が書かれる瞬間を、リアルタイムで見られるかもしれない私たちは、相当ぜいたくな時代のファンだと思いませんか?
サイ・ヤング賞に関するよくある質問
サイ・ヤング賞は誰が選ぶのですか?
全米野球記者協会(BBWAA)の記者による投票で決まります。
各リーグ30人が1位から5位まで記入し、合計点で受賞者が決まります。
日本人でサイ・ヤング賞を獲った投手はいますか?
2026年7月時点で、受賞者はまだいません。
最高位はダルビッシュ有さん(2013年・2020年)と前田健太さん(2020年)の2位です。
MVPとサイ・ヤング賞はどちらがすごいのですか?
対象が違うため単純比較はできません。
MVPは全選手の頂点、サイ・ヤング賞は投手の頂点です。
投手にとっては、サイ・ヤング賞こそが最高の勲章とされています。
発表はいつ行われますか?
例年、ワールドシリーズ終了後の11月に発表されます。
ポストシーズンの成績は投票に影響しません。
大谷翔平さんは2026年に受賞できますか?
復帰時期が未定で今後の投球回を積み上げにくいことから、報道では厳しい見方が出ています。
一方で今季中の投手復帰の可能性は否定されておらず、まずはマウンドに戻る日が焦点です。
まとめ|「最初の日本人」の名前が刻まれる日を待ちながら
サイ・ヤング賞とは、その年最高の投手に贈られる、投手だけの栄誉です。
記者30人が5位まで投票し、点数で決まる。
発表は11月。
そして創設からおよそ70年、日本人受賞者はまだ0人。
最高位は2位で、その壁の前にダルビッシュさん、前田さん、岩隈さん、山本さん、大谷さん、何人もの名前が並んでいます。
0人という数字は、空白ではありません。
筆者には、リレーのバトンが今も走り続けているように見えます。
次にこの賞の名前をニュースで見かけたら、思い出してください。
私たちは「日本人初」が生まれるかもしれない時代を、リアルタイムで生きています。
その瞬間を、一緒に見届けましょう!
ちなみに最近、筆者が歴代の名投手について調べるきっかけになったのが、YouTubeチャンネル「大谷一本【日米野球】」です。
記録や賞の話を、数字の羅列ではなく「その裏で誰が何を積み重ねてきたか」という物語として見せてくれるので、観終わったあとに数字の見え方が変わるんですよね。
サイ・ヤング賞のような「賞の重み」を知ってから見ると、大谷さんの一球一球がもっと特別に見えるはずです。
「記録の意味まで知って大谷さんを応援したい」という方に、心からおすすめします。
▶ 大谷一本【日米野球】 https://www.youtube.com/@OHTANI-IPPON/

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